今回の「シアタースポーツ」のコーチとして
公演が終わってからもずっと考えていたことは
「どういうアドバイスをすれば、ベストパフォーマンスができるか」
ということでした。
「即興で舞台に立つ」という、誰がどう考えても「恐ろしい」状況の人たちに、
どのような声かけをしてあげたらよいのか。
今回の公演までに、できる限り、さまざまな工夫をしました。
しかし、それでも足りなかったような気がします。
もっとよいアドバイスができたんじゃないだろうか。。。
<「なぜ日本人はプレッシャーに弱いか」>
という本を読みました。(日本スポーツ心理学会会長の児玉光雄(1999))
児玉によると、日本人がプレッシャーに弱い理由は4つあるといいます。
1)左脳を酷使しすぎている
2)恥をおそれるから
3)結果を気にしすぎ
4)シャイ
**それでは、これら4つについて具体的に見てみましょう*****
1)左脳の酷使しすぎている
東京医科歯科大名誉教授の角田(1981)によると、
西欧人は、情緒に関わる状況(泣き声、笑い声など)を右脳で受け取るが、
日本人はそれらを左脳で受け取ることが多いのだそうです。
つまり、日本人はどの民族よりも左脳を酷使しているということ。
感情的なことも、左脳(理性を司る)部分で受け取ってしまうために、
感情と理性がごちゃごちゃになりがちなのではないかというのが
筆者の考えです。
2)恥をおそれるから
上手くできないことを理性的に考えられず、「恥ずかしいこと」だと感情的に受け取ってしまう日本人は、
上手くできないことに対して、プレッシャーを感じてしまいます。
そして恥をおそれるために、周囲をいつも気にしてしまいます。
これがまたプレッシャーのもとになっています。
このような負のサイクルがあるのではないでしょうか。
3)結果を気にしすぎる。
恥を恐れるために、世間体を機にする日本人は、恥をかきたくないために頑張ってしまいます。
頑張りすぎてしまいます。もし恥を恐れなければ、プレッシャーなんて心に生じないのに、、、。
4)シャイ
ジンバルドー博士(スタンフォード)によるシャイネスについての研究があるそうです。
その研究によると、
5000人の様々な民族を対象とした調査で、他民族のシャイさは2%だったのに比べて、
日本人は10%でした。つまり日本人は極端にシャイなのです。
ちなみに、シャイネスとは、用心深く、口をきいたり、何かをしたりせず、
孤児主張など気が引けてできない臆病な性格と定義されています。
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これらの理由で、日本人はプレッシャーを感じやすい状況になっているというのです。
理性と感情をごっちゃにしてしまうことに関しては、
私が関わった学生たちにも、とてもよく見られたことでした。
振り返ってみますと、私にもそういう傾向がありました。
また周りや結果を気にするために、思い切って飛び込めない学生も多くみられました。
結果という意味では、優勝する/しないを気にするために、上手く自分を発揮できなかった
学生もいたように思えました。
シャイに関しては、今回の学生には当てはまらないかなぁ~。
むしろ堂々をやってのけたと思います。
本当に偉かった。みんな良い意味で頑張りました。
それでは逆に、プレッシャーに強い人とはどのような人たちなのでしょうか?
以下にまとめました。
<プレッシャーに強い人たち>
1)行動的である。
バリバリ行動することにより、つまらないことで悩まない。
たとえそのことに対してプレッシャーを抱いていても、
行動しはじめたら、ストレスは知らないうちに消えてしまう。
2)気兼ねをしない。
周りの人たちに対して、気配りをすることはあっても、
自分の決めたことは誰が何を言おうと、断行として決断する勇気がある。
自発的に行動する人には、プレッシャーは寄り付かない。
3)包容力がある。
妥協を許さない人はプレッシャーに弱い。いわゆる完全主義者と
いうのは神経質。あいまいなことや、だらしないことに我慢dえきない。
それ自体は悪ことではない。問題は自分の思っていることと違うと、
途端にプレッシャーがかかるということ。
心の遊びを持つ。許すことを覚えよう。
4)陽気
いつも笑顔を絶やさないし、誰にも微笑みかける。
どんなに面白くないことがあっても、決してグチをこぼさない。
5)人付き合いがうまい
人間関係でトラブウrを起こす人たちはプレッシャー耐性が低い。
気配りや容認に配慮することにより、プレッシャー耐性は確実に向上する。
なるほど~。
上記のような態度を心がけるだけで、
ずいぶんプレッシャーは逃げていくような気がします。
さらに、本著では、プレッシャーを受けやすい日本人に
どのようなコーチをしたらいいかということに関して、
瞑想やヨガを薦めています。
また思い込みに気がついて、自己のイメージを変化させることも推薦しています。
最後に、この自己イメージを変えるための言葉を
まとめて紹介します。
<自己イメージを変える>
つぎの言葉を自分に語りかけよう
* この仕事が失敗したからといって人生が終わるわけではない
* 結果がどうなろうと、自分のベストを尽くせばよい
* 厳しい状況を楽しもう。厳しければ厳しいほどファイトが湧いてくる
<まとめとして>
ここでは
「プレッシャーを抱えている人に、どのような声かけができるか」ということの手がかりとして
「なぜ日本人はプレッシャーに弱いのか」という本を読んでみました。
どんな職業でも、プレッシャーを感じることはあるはずなので、
皆さんにも役にたつキーワードがあったかもしれません。
もしそうだとしたら、
ぜひ役立てくださいませ~!
ちなみに、研究の文脈では、
スポーツ選手のプレッシャーに関しては様々な研究がなされているようです。
これらの知見が、芸術家のプレッシャーに対しても有用なのかはまだ未知です。
多分、使える部分もあれば、使えない部分もあるのではないかなと思います。
とくに創造性に関しては、身体的なプレッシャーとは関係はあったとしても、
それだけだとは思えないので、、。
優れた表現者を育てるためには、
芸術におけるプレッシャー軽減やパフォーマンスを向上させるコーチングが必要となるでしょう。
私はそれがとても知りたいです。
学生たちの、まだ眠っている素晴らしい能力を発揮させてあげたいと思います。
これがわたしが「しあすぽ」のコーチをして得た新しいモチベーション。
これからも、もっと勉強していきたいと思います!