シアタースポーツのパンフレットに書かなかったこと。

 

 

 

 

 

玉川大学からシアタースポーツ(tm)の指導の依頼が来た時とても驚きました。なぜなら現在の日本では演出家と台本ありきの演劇が主流で、即興的に俳優が創造したものをその場でお客様に楽しんでいただく演劇はあまり知られていないからです(西欧ではテレビ番組があるほど大人気ですが)。演劇は時代を反映しています。すべては計画を立ててから。間違っちゃいけない。失敗しちゃいけない。指示されたことを的確にやりなさい。直感や動物的勘を信じてはいけない。このような考え方がまだ日本には漂っているのではないでしょうか。

 

 

 

 即興演劇は上記とは「真逆」ことを強要されます。あらかじめ決められた台本はありません。指示をしてくれる演出家もいません。すべて自分たちで考え、動き、仲間とコミュニーションを取りながらストーリーを作らなくてはなりません。間違うこともあるかもしれない、もし自分が間違えたと考えるならば。

 

 

 

この懸念を吹っ飛ばしてくれたのはオーディションでの学生の姿です。正直びっくりしました。こんなに熱い若者達がいるのか〜と。我々の稽古は猛暑の中、急ピッチで進められました(期間はわずか1ヶ月。通常は半年から1年は必要)。 即興で演劇をするためにどうしたらいいかを指導するのが私の役割です。自分に嘘をつかないこと。すでに「場」にある答えを見つけること。冒険を楽しむこと。恥をかきたくないという自己顕示欲と自分の殻を破りたいという衝動、チームワークが深まる喜びと自己中心的な自分との対面。これら拮抗する気持ちを認めることがキモ。

 

 さていよいよ本番。プロ俳優でも尻込みする即興演劇を、彼らは堂々とやってのけてくれるかな。これは簡単なことではありません、ホントに。どうぞみなさん惜しみない拍手をお願いいたします。